嗅覚の刺激効果によって忘れたはずの記憶がよみがえるのはなぜか

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嗅覚の刺激効果によって忘れたはずの記憶がよみがえるのはなぜか

花のにおいをかぐ女の子

森林の香り嗅いでリフレッシュしたり、街の中を歩いていておいしそうな料理の香りに出くわして空腹感を感じるといったことは、日常的にあることです。
なんだか埃のような臭いがすると思ったら、雨が降ってきたなんていうこともあります。こういうときに、過去の記憶がよみがえってきて「雨が降りそう」と察知することもあります。
体臭などの不快な臭いや、ガスなどの危険な臭いを嗅覚がとらえるとその近くから逃げようとしたり、気持ち悪くなることもあります。
このように、嗅覚で感じると体や心がなんらかの反応を起こします。この体験を積み重ねることで、危険から身を守ったり、安心できる香りを楽しむということを無意識に行なっています。おいしそうな香りにつられてレストランに入っていくのも、食欲を満たして種の保存をしようとする本能的な欲求に基づく行為です。
最近では、アルツハイマー病の改善や予防にアロマテラピーが有効ということが知られてきました。アルツハイマー病では、早期から嗅覚の衰えが見られることが多いです。脳の神経細胞(ニューロン)のうち、再生されるものの一つが嗅覚だと言われています。つまり、外部からにおいの刺激を与えると嗅覚が刺激されて、脳の衰えた部分やその周辺に働きかけて機能が回復するということです。
記憶力が失われてしまった患者さんでも嗅覚を刺激することで記憶力が回復するということは、それだけ嗅覚が記憶に残りやすいと考えられます。

嗅覚刺激が人の記憶に与える効果とは

鼻で臭いを嗅ぐと言いますが、実際に臭いを感じ取っているのは脳の嗅覚野という部分です。臭いの元は空気中に漂っていて、目に見えない揮発性の分子です。この分子は臭いを発する物によって分子の形が異なります。
化学式だと小さな違いでも、結合の仕方が違うと別なにおいとして感じるようになります。
鼻腔の奥の上部には嗅覚器という嗅覚を感じる器官があります。大気中のにおい分子が鼻から吸い込まれて鼻腔上部に達すると、嗅上皮に作用します。ここにはにおいの識別をするための特殊な神経細胞がびっしり並んでいて、こうした器官を経て嗅細胞の細胞膜にあるイオンの通路が開いて細胞が脱分極すると、電気信号が発生して神経インパルスとして脳のそこの部分の嗅球という部分に伝わります。目に見えないほど小さな分子が鼻の奥の嗅覚の受容体にハマって信号を発信すると、脳の底にある救急を通って、脳の様々な部位を刺激しながら、最終的ににおいの感覚が嗅覚野で生じるようになります。
人間には五感があり、視覚、味覚、触覚、嗅覚、聴覚があります。このうち、最も原始的と言われているのが嗅覚です。嗅覚によって人間は生きながらえてきたといっても過言ではないほどです。
原始的で本能的な感覚なので、考えなくても、覚えていなくても、嗅覚が刺激されると記憶がよみがえる効果が発揮されます。人の記憶にダイレクトに作用してくる本能的な感覚ということです。

同じ臭いを嗅いだときに起こること

同じ臭いを嗅いだとき、その時の記憶がよみがえることがあります。例えば紅茶の香りを嗅いで、昔飲んだ紅茶のことがよみがえるなどという状況です。プルースト効果と呼ばれていて昔からありましたが、最近の研究ではこの作用が科学的に説明できるようになっています。
ラットのfMRIを観察したところ、嗅細胞から伝わった電気信号が嗅皮質を経て、次に海馬を活性化することが報告されています。海馬には最近のことから過去2年くらい前までの記憶を蓄積することができます。
海馬を通じてにおいの記憶は大脳皮質に伝わって、格納されます。においの情報はあちこちに格納されているのですが、におい刺激を受けて嗅覚が刺激されると過去にあったにおいと結びついた出来事が思い起こされる効果が発揮されます。
また、記憶を思い出す回数が多いほど神経の経路が強固になって、正確な記憶になります。
また、においは情動とも関わりがあります。大脳辺縁系の一部である扁桃体には情動反応と情報を固定する働きをしています。そして、においはここの扁桃体にも伝達されるので、情動がにおいによって揺さぶられる可能性があります。
過去の恋人と食べた食べ物の香りを嗅いで、その恋人を思い出して切なくなったりすることも、このよみがえる効果によって説明できます。
においは脳の様々な部位に直接働きかけて、人間の過去のことをよみがえらせてくれます。これは良いことも嫌なことも同様です。

どんなときによみがえるのか

どんなときに嗅覚の刺激効果によって昔のことがよみがえるのかというと、様々なシーンが考えられます。
例えば歯科恐怖症という気持ちの病気があります。これは、昔歯医者で痛い思いや辛い治療をしたことがきっかけで、トラウマになって大人になってからも怖くて歯医者に行けなくなる病気です。こういう歯科恐怖症の人は、歯医者のにおいを嗅ぐだけで体が拒否反応を起こして、吐き気やめまいを引き起こしてしまうことがあります。歯医者独特の消毒液のにおいなどに敏感に反応して、治療前から足がすくんでしまうということです。これは本人が意識していなくても起こる症状で、いかに嗅覚が昔のことをリアルに思い出させているかがわかります。
他には、実家のにおいというのもあります。一人暮らしを始めて、しばらく帰っていなかった実家に帰ると、その家の独特のにおいに気づくことがあります。そして昔は若かった両親のことを思い起こすということもあります。
また、それと関連して樟脳などのにおいで自分の家のタンスを思い出すようなケースもあります。常に樟脳が入っていてそのにおいが強烈だった、あのにおいこそ我が家のタンスだと感じ取っていた脳が、嗅覚が刺激されたことで突然そのことを思い出すようなケースです。
何か思い出そうとしてじわじわ思い出すのではなく、嗅覚によって呼び起こされた思い出は突如いきなり目の前に現れるような感覚で起こるのが特徴です。

嗅覚の可能性は大きい

嗅覚と記憶には、密接な関係があるということです。
においというと五感の中の一つというくらいのイメージしかありませんが、実は他の感覚に比べて鋭敏な機能を持っています。
「あのにおい」と自然に思い出されるのは、本能的に感じ取っているからです。
最近ではアロマテラピーなども人気があり、あれも香りの成分でリラックスさせたり、治療に用いたりすることです。
においについての研究は今まであまり進んでいませんでしたが、最近になってfMRIの検査装置が登場したことで急激にわかることが増えてきています。
ラットの実験だけではなく人間を使った実験も徐々に行われているので、はっきりとしたことが解明されるのも間近でしょう。
そして最近特に注目されているのがアルツハイマー病に対する改善と予防の効果です。アルツハイマー病には効果的な治療法がないと言われてきましたが、もし嗅覚を刺激することで失われた海馬の機能が回復したり、情動が刺激されて反応するようになれば治療が可能になる可能性もあります。全く何も思い出せなくなった人や、感情を失って喋らなくなってしまった人でも、嗅覚を刺激すれば何か改善するかもしれません。
嗅覚を刺激することで人間の脳の血流が増えるとも言われてるので、嗅覚を刺激して脳を活発に働かせることも良いでしょう。
嗅覚を常に刺激していれば、ボケにくい体質になる可能性もあります。嗅覚は様々な可能性を秘めています。

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